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子宮頚がん
子宮頸部がん(しきゅうけいぶがん)とは
産婦人科の癌で最も一般的な子宮がんには、子宮頚部がんと子宮体部がん(内膜がん)があります。
子宮頚部がんは、子宮の入り口の子宮頚部に発生する癌を言います。子宮頸部がんはヒトパピローマウイルス感染から起きてくることが明らかとなりました。現在ではこのウイルスに対するワクチンがあり、今後ワクチン接種が急速に普及してゆくと思われます。
子宮頸部がんの死亡率は子宮がん検診の普及で減少傾向にありますが、一方で罹患年齢の若年化が進んでいます。罹患年齢のピークは35歳ですが、20代前半で見つかることも少なくなく、最も若年で発症する癌と言えます。
症状
初期の子宮頸部がんでは、全く症状がないのが普通です。癌が少し進行すると最初の症状としては、月経以外の出欠、性行為の際の接触出血などの不正性器出血や普段と違うおりものが増加したりします。
高齢の婦人では性行為の出血ということは少ないので、癌が進行してから出血を見ることがあります。また更年期に入っていると思っていて、月経異常を放置して、気が付いた時には癌が進行していたということも少なくありません。早期発見のためにも是非、定期的な子宮がん検診を受けていただきたいです。
診断
細胞診
子宮の入り口の部分から綿棒やヘラのようなものでこすりとった細胞を硝子板に塗り、色素で染めて顕微鏡で見ますと、異常な細胞か正常な細胞かを見分けることができます。この診断法を細胞診と呼び、癌を診断する各種の検査法の中でも非常に重要な方法です。
ただし、細胞診だけで癌を決定することはしません。癌でなくても、癌とまぎらわしい細胞が出ることがあるからです。細胞診に異常があった場合は、次の検査を行います。
組織診
疑わしい部分から組織をとり、標本をつくって顕微鏡で診断する方法を組織診と呼びます。ただ採取する組織が小さいので、0 期の癌か、それより進行した癌か、または0期にもなっていない状態かを鑑別するのが困難なことがあり、何回か組織診を行ったり、「円錐切除術」と呼ばれる方法で組織診を行うこともあります。
コルポ診
コルポスコープという拡大鏡で、子宮頸部粘膜表面を拡大して、酢酸を浸し細かい部分を観察する診断法をコルポ診と呼んでいます。組織診の組織を採取する際に欠かせません。
病期(ステージ)
0期
子宮頸部の上皮内のみに癌が認められます。
Ⅰ期
癌が子宮頸部に限局して認められ、他へ拡がっていない状態。
Ⅰa期
組織学的にのみ診断できる浸潤がんで、肉眼的に明らかな病巣はたとえ表層浸潤であってもIb期とします。
浸潤は、計測による間質浸潤の深さが5mm以内で、縦軸方向の拡がりが7mmを超えないものとします。浸潤の深さは、浸潤が見られる表層上皮の基底膜より計測して5mmを超えないもので、脈管(静脈またはリンパ管)侵襲があっても進行期は変更しません。
・Ⅰa1期:間質浸潤の深さが3mm以内で、拡がりが7mmを超えないもの。
・Ⅰa2期:間質浸潤の深さが3mmを超えるが5mm以内で、拡がりが7mmを超えないもの。
ただし子宮頸部腺がんについてはIa1、Ia2期の細分類は行いません。
Ⅰb期
臨床的に明らかな病巣が子宮頸部に限局するもの、または臨床的に明らかではないがIa期を越えるもの。
・Ⅰb1期:病巣が4cm以内のもの。
・Ⅰb2期:病巣が4cmを超えるもの。
Ⅱ期
癌が子宮頸部を越えて拡がるが、骨盤壁または、膣壁の下1/3には達していないもの 。
Ⅱa期
癌は膣壁に拡がっているが子宮傍組織には拡がっていないもの。
Ⅱb期
癌が子宮傍組織に拡がっているが骨盤壁まで達していないもの。
Ⅲ期
癌が骨盤壁まで達するもので、癌と骨盤壁との間に癌でない部分がないもの。または膣壁浸潤が下方部分1/3を越えるもの。
Ⅲa期
癌の膣壁への拡がりは下方部分1/3を越えるが、子宮傍組織への拡がりは骨盤壁にまで達していないもの。
Ⅲb期
癌の子宮傍組織への拡がりが骨盤壁にまで達しているもの、水腎症や無機能腎を認めるもの。
Ⅳ期
癌が小骨盤腔を越えて拡がるか、膀胱・直腸の粘膜にも拡がっているもの 。
Ⅳa期
膀胱や直腸の粘膜へ癌が拡がっているもの。
Ⅳb期
小骨盤腔を越えて肺のような遠隔臓器に癌の転移があるもの。
治療
外科療法
早期がんに対する治療
手術治療
円錐切除術
癌が見つかった子宮の頚部組織を円錐状の組織として切除します。円錐切除は生検組織をとる診断的意味の他に、早期癌治療的意味も含んでいます。
単純子宮全摘出術
癌に侵された子宮を摘出する手術です。必要に応じて卵巣や卵管も切除します。
広汎子宮全摘出術
患部を子宮と膣の一部を含め、骨盤壁近くから広い範囲で切除します。子宮頚部がんに関連する所属リンパ節も同時に切除します(リンパ節郭清)。広汎子宮全摘術に準じた、もう少し小さ目の準広汎子宮全摘術も進行期に合わせて行われます。
骨盤内臓全摘術
癌が骨盤内の他の臓器に拡がっていると、子宮・膣とともに下部結腸、直腸、膀胱をもとらなければなりません。これを骨盤内臓全摘術といいます。人工肛門や回腸導管(回腸を用いて人工的に尿路を再建する)などが必要となります。
放射線治療
放射線治療には癌細胞を殺し、腫瘍を縮小するためにX線や高エネルギー線が用いられます。最近では抗がん剤を併用する方が治療効果が高いことがわかり、放射線治療と並行して化学療法が行われます。
合併症のため手術ができない場合や手術では取りきれないと考えられる場合には、放射線治療が選択されます。また手術単独では再発リスクが高いと考えられる場合には、手術後に放射線治療を行います。
化学療法
最終更新日:2018/08/16