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大腸がん
大腸癌について
近年大腸癌は食生活の欧米化とともに増加の一途をたどり、女性では癌死亡率1位、全体では2位となっています。しかし他の癌に比べると比較的予後良好な癌でもあります。手術後5年が経過した時点で生きている確立(5年生存率)でみると病期Ⅰ/Ⅱではそれぞれ90/80%以上です。リンパ節転移がある病期Ⅲでも、転移個数が4個未満のⅢaで約70%、4個以上のⅢ bで約60%です。一方、肺や肝臓に転移のある病期Ⅳでは20%ほどと厳しい状況ですが、最近では抗癌剤などの進歩により平均で30か月を超える予後が期待できるようになっております。
外科手術
大腸癌の手術は癌を含めて腸を口側・肛門側ともに10cm以上切除することと、所属リンパ節を栄養血管を含めて取り除く手技から成り立っています。
現在、従来の開腹手術に加えて、腹腔鏡を使って小さな創で大腸癌手術を行う腹腔鏡下手術を積極的に行っています。この手術方法は美容的に優れているだけでなく、術後早期から食事が開始でき、早く退院できる(術後7~14日)ことや術後の腸閉塞が起こりにくいことなどの利点があります。開腹手術に比べやや時間がかかる事が短所として挙げられますが、技術的修練によりその問題は解消されてきています。
腹腔鏡手術の傷跡です。従来の臍の上下にわたる20cm程の大きな開腹創に比べて随分小さくなっているのがおわかりでしょう。
2013年から当センターでは手術支援ロボット(ダビンチSi)を導入し、泌尿器科領域を中心に広くロボット支援手術を行ってきました。2018年に直腸癌手術が保険適用となってからは、直腸癌に対しても、より精密な手術が可能なロボット支援手術を積極的に行っています。
直腸癌では肛門側2-3cmの切除となりますが、下部直腸癌では人工肛門造設を避けられない患者さんも存在します。当科では、進行程度にもよりますが、超低位直腸前方切除術や内肛門括約筋切除術(ISR)を行い、できるだけ人工肛門をつけずに済むようにしております。直腸癌では局所再発率が結腸癌に比べて高いことが指摘されていますが、当センターでは直腸間膜切除(TME、TSME)を完遂することや、下部直腸癌に対し術前から抗癌剤と放射線療法を併用することにより局所再発の低減と肛門温存率の向上に取り組んでいます。
下部直腸癌に対する内肛門括約筋切除術(ISR)
化学療法(抗がん剤治療化学療法)
大腸癌の化学療法(抗がん剤治療)は、多くの新規薬剤の開発もあって、この10年間でめざましく進歩しました。化学療法には術後補助化学療法と進行再発大腸癌に対する全身化学療法があります。術後補助化学療法は手術で病巣が完全に取り切れたけれども再発リスクが高いと思われる患者さんに6か月間、予防的に抗癌剤(UFT・カペシタビン・TS1など)を投与するものです。全身化学療法は手術で取りきれない高度進行例や再発した患者さんに行うものです。5-FU・ロイコボリン・オキサリプラチン・イリノテカンという4つの薬剤の組み合わせが基本となり、さらにベバシズマブ、サツキシマブ、ラムシルマブなどの分子標的薬を併用して行います。治療は大腸がん治療ガイドラインに則って1次治療、2次治療の順に行われますが、3次治療以降にはロンサーフ、レゴラフェニブなどの経口薬も使用されています。主な副作用に下痢や嘔吐・白血球減少・皮膚障害・間質性肺炎・アレルギー反応などがありますが、いずれも適切に予防対策や管理をされて、治療を継続します。化学療法は主として外来通院で行われますので、治療を受けながら、仕事や日常生活を継続することができます。
最終更新日:2020/07/22