放射線治療部

南棟の建設


2022年11月16日の写真:1階放射線治療部門照射室の遮蔽用鉄板が設置されたところです。
 

 2024年5月、放射線治療部門が稼働開始の予定で、診療本館南側に4階建ての南棟が現在建設中です。南棟の1階には高精度な放射線治療を展開するための新たな施設が設置されます。

 現在の診療本館ではリニアック(Clinac21EX:Varian社製)1台体制での運用ですが,南棟では定位放射線治療や強度変調放射線治療という高精度放射線治療を積極的に推進するために,3台の放射線治療装置と、高性能な放射線治療計画用CT、放射線治療計画装置を導入するとともに放射線治療に関わるあらゆるデータを統合的に管理し、高精度放射線治療をバックアップしてくれる放射線治療部門システム(MOSAIQ-OIS:Elekta社製)の導入を決めています。
 なお、MOSAIQ-OISは南棟稼働開始1年前の2023年1月より稼働しています。

 3台のリニアックのうちの1台は病巣にピンポイントに照射する定位放射線治療に特化したCyberKnife(Accuray社製)を導入すべく,本装置が設置可能な特別仕様の遮蔽を施した治療室となります。本装置では脳腫瘍のみならず,呼吸による動きが問題となる胸部や腹部の腫瘍において、呼吸同期や動態追尾という技術を駆使して高精度の定位放射線治療が実現できます。こうした装置は県内には未導入で本装置が県内初号機となり県内の各施設から患者様を受け入れられるよう準備中です。

 高精度の放射線治療を行うべく医師(放射線腫瘍医),看護師(放射線治療認定看護師),診療放射線技師(放射線治療専門放射線技師),医学物理士等に加えて患者様を全面的にサポートする専従スタッフが1つのチームを形成して治療にあたるとともに,連携して行われる手術や薬物療法専門のスタッフ,通院での治療を全面的にサポートする社会福祉士らとの連携もはかり,安心して放射線治療を受けていただけるような体制を整えています。高い次元の放射線治療の提供と高い次元の療養環境も提供できるように運営して参ります。

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これまでの放射線治療実績

 

  2018年度   2019年度   2020年度   2021年度   2022年度  
69   75   71   69   58  
原発   6   3   9   3   5
転移   56   71   58   66   53
頭蓋底   3   1   0   0   0
PCI   4   0   4   2   2
うち定位   35   58   26   47   37
頭頸部 34   27   29   32   29  
うちIMRT   7   8   7   7   13
食道 10   14   8   15   9  
70   77   58   57   52  
うち定位   15   28   19   16   16
乳腺 72   81   96   98   76  
温存手術後   34   60   59   52   41
乳房切断後   24   18   35   41   29
消化器(除食道) 25   31   24   35   55  
うち定位   4   5   9   16   22
前立腺 55   55   66   51   42  
うちIMRT   52   49   55   43   38

泌尿器その他

5   15   6   12   7  
女性生殖器 28   34   50   23   37  
造血器 20   15   14   23   10  
皮膚・軟部組織 11   6   3   4   10  
緩和照射 132   155   155   113   121  
非密封小線源 11   5   1   2   2  
ラジウム   7   5   1   2   2
ストロンチウム   5   0   0   0   0
合計 542   590   581   534   508  

 

 コロナ感染の影響で、早期にがんの診断に至らす、十分な放射線治療が提供できない時期がありましたが、最近になり徐々に従来の状況へとがん診療の環境も回復してきています。照射中の患者様の周囲にも感染される方がみられ、一定期間照射を中断せざるを得ない状況も時には発生していますが、放射線治療業務そのものが中断しないように細心の注意を払って日々の業務に勤めています。装置1台の体制のために十分とは言えませんが、前立腺癌と信仰頭頸部癌には強度変調放射線治療(IMRT)を、転移を主とした脳腫瘍は体幹部では肺癌や肝細胞癌に定位放射線治療を実施しています。

 

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高精度放射線治療について

定位放射線治療

 がん病巣に多方向から放射線を照射することで,病巣に高線量を集中して効率的な抗腫瘍効果を得ることを意図した照射方法で、頭部の病変では1mmの精度で、体幹部の病変では5mm以内の精度を保っての治療となります。

【脳腫瘍の場合】 【肺癌の場合】

 

    

                                 


 

 

強度変調放射線治療

 最新のコンピュータ技術を駆使した治療法で,専用コンピュータによる最適化計算により、照射装置から放射線が出る部分の形状を特殊な方法で段階的に変化させながら照射する治療方法。この技術により、腫瘍への投与線量の増加と同時に近接する正常組織の線量低減が可能となりました。

【前立腺癌の場合】 【下咽頭癌の場合】
                                        

 前立腺癌では治療対象となる前立腺に高線量を照射するとともに、近接する膀胱や直腸への線量の低減を実現します。下咽頭癌等の進行頭頸部癌では原発病巣やリンパ節転移に高線量を照射し、将来的に転移を起こす可能性のあるリンパ節領域には転移を予防できるだけの線量を照射し、さらに耳下腺への線量を低減して唾液の分泌を維持することを実現します。

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高次元放射線治療の整備状況(事業の進捗に合わせて,順次更新します)

 ① 2021年12月  南棟建設開始

 ② 2022年秋    南棟に整備される2台の機器の選定完了

 ③ 2023年4月   放射線治療部発足

 ④ 2024年5月7日   南棟での放射線治療業務の開始
              ・ RadixactX9(Accuray社製)の運用開始
              ・ 放射線治療計画用CT(SOMATOM X.cite:Siemens社製)運用開始
              ・ 旧リニアック(Clinac21EX)は継続して運用

 ⑤ 2024年10月1日   南棟での放射線治療業務が全面稼働予定
              ・ 新リニアック(VersaHD)の運用開始予定
              ・ Catalyst+HD運用開始(予定体表の輪郭での位置合わせ)
              ・ 旧リニアック(Clinac21EX)の運用終了予定

 ⑥ CyberKnife S7の運用開始時期は未定

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南棟で整備する放射線治療システムについて

高精度照射にも対応可能な汎用型リニアック
  VersaHD(Elekta社製)の導入が決定


● 本装置には可視光によるポジショニング、リアルタイムモニタリング、呼吸管理を実現するCatalyst+HD(C-RAD社)を附属システムとして導入
● 計画用CT室にはCT画像の取得に合わせて体表画像も取得するSentinel(C-RAD社)を合わせて導入
● 本装置でもかなりのレベルまでの強度変調放射線治療や定位放射線治療も実現可能

【Catalyst+HDについて】

 

 体表の呼吸等による動きをリアルタイムでモニターして,装置の安全な自動制御を実現するシステムです。従来必須であった皮膚表面のマークも不要となり、照射部位の皮膚のケアにも気を使う必要がなくなります。皮膚マークが不要になることで、皮膚マークの消失を心配する必要がなくなり高精度の放射線治療を計画するために時間が十分に確保でき、信頼度の高い高精度照射の実現が保障されます。また、胸腹部で高精度の照射を行うためには息止めでの照射が必要でしたが、本システムの運用で体表の動きで呼吸状態をモニターすることが可能になり息止めの難しい高齢の患者様でも高精度の照射が実現可能となります。

 

強度変調放射線治療に特化したリニアック
  RadixactX9の導入が正式に決定

 
強度変調放射線治療に特化したトモセラピーの進化バージョン
 ● カウチキャッチャーによる治療寝台撓みの回避
 ● 動態追尾機能であるSynchorny:治療中の腫瘍の動きを追従し、修正する機能
  ● 従来のトモセラピーの弱点で合った胸部や腹部の腫瘍にも正確で、高精度の放射線治療が実現できる。
 ● ヘリカルkVCTイメージングClearRT
 ● 従来のMVCTに比し明瞭な画像で正確な位置合わせが実現
 ● 日々の照射による体の輪郭や腫瘍の形状の変化が明瞭に確認できる
 ● 日々の変化を治療計画に取り入れる適応放射線治療を目指す上での第一歩となる

体幹部も含めた定位放射線治療に特化したリニアック
  CyberKnife S7の導入が決定

   

● 県内初号機となるロボットアーム式リニアック
● 頭蓋内腫瘍のみならず,体幹部や四肢の腫瘍でのピンポイントの照射が実現

放射線治療計画専用CTシステム
  SOMATOM X.citeの導入が決定

 
Siemens社製のシングル管球CTのフラグシップモデル、放射線治療計画の基準に合致するためにカスタマイズされた専用寝台を装備した装置


金属アーチファクトの低減(iMAR)による治療計画性の向上


● Dual Energy撮影により組織間コントラストの向上した画像と、造影画像を放射線治療計画に直結するDirectDensityの技術
● 従来の放射線治療計画CTにはなかった多くの技術を駆使して,高精度のCT画像を取得し高精度の放射線治療に結びつけます。
● 放射線治療計画に使うCT画像が不十分なものでは、どれだけ治療装置が高精度のものであっても真に精度の高い放射線治療は実現されません。このコンセプトは岐阜大学放射線科と共有し、システムの構築を進めています。

放射線治療計画システム
  RayStationの導入が決定

● 3台のリニアック全ての治療計画に対応したシステム
● 放射線治療計画のためのあらゆる機能を装備
● 適応再治療計画モジュールによりオンライン再計画を実現

適応放射線治療とは
 治療の進行による腫瘍の縮小や体格の変化を可能な限りリアルタイムで修正を行って治療
 精度の維持を図る,ある意味究極の高精度放射線治療となります。

放射線治療部門システム
  MOSAIQ-OIS(Elekta社製)を2023年1月より稼働中
治療装置の情報や画像情報も含めた放射線治療に関する情報を統括的に管理するシステムになります。2023年1月の電子カルテシステムの更新に合わせて導入しました。

● 放射線治療患者のデータベースを構築
● 放射線治療計画の進捗管理
● 日々の照射情報の管理
● 日々の患者の状態の管理
● 各装置の品質管理
● 放射線治療計画情報(DICOM-RT)の管理
● IGRT画像(2D,CBCT,ClearRT)の管理・表示
   →適応放射線治療の運用のためのキーとなる役割を担う
● 各職種に特化した画面構成で業務の効率化,高機能化を展開
● 必要なデータは電子カルテ側からの参照可能な環境を構築

 

今後機器の選定作業や各種準備の進捗に合わせて順次更新してまいります。

(2023年7月18日更新)

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最終更新日:2023/07/18