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がんについての基本的な情報

腎盂尿管(じんうにょうかん)がん

腎盂尿管について

左右の腎臓実質でつくられた尿は、腎盂を通り尿管へ流れていき、膀胱内に貯留されます。排尿時には、膀胱から尿道を通って排尿されます。このうち、腎盂と尿管を上部尿路、膀胱から尿道を下部尿路と呼びます。腎盂、尿管と膀胱、尿道の一部は移行上皮と呼ばれる粘膜で構成されています。

疫学

尿路に発生する癌は、主に移行上皮癌と呼ばれ、腎盂尿管がんも多くは移行上皮癌です。時に、慢性炎症や結石に合併する扁平上皮癌もみられます。腎盂尿管がんは、泌尿器科の癌の中でも比較的まれで、その発生頻度は人口10万人あたり、男性0.1人、女性0.1人程度です。 30%程度の症例は腎盂尿管がんの治療後、膀胱内に癌の発生を認めます。

症状

最も多い症状は、膀胱がん同様に無症候性肉眼的血尿です。時に、腫瘍や血液による尿の通過障害をおこして腎盂・腎杯、尿管の拡張(水腎症、水尿管症)をきたし、腰の痛み、背中の痛みがおこることがあります。

診断

造影剤を用いる排泄性腎盂造影(DIP)というレントゲン検査を行ないます。この検査によって、造影剤が腎臓から腎盂や尿管に排泄され、腎盂・腎杯、尿管の変形や陰影欠損により腫瘍の有無などの異常をみます。DIPにて腎盂尿管がんが疑われた場合には腎盂尿管ファイバーを行い、腎盂尿管内を直接観察し、生検による組織検査を行ないます。

腹部超音波検査も簡便な検査であり、腎盂内の腫瘍の有無や水腎症の有無などが把握されることがあります。

臨床病期を決定するため、CT・胸部X線撮影検査で肺、肝臓、リンパ節などへの転移の有無を確認します。

臨床病期

臨床病期はTNM分類で表します。

T分類は原発腫瘍の壁内深達度

Tis:上皮内癌Ta:癌が粘膜内に限局している。
T1:癌が粘膜固有層まで浸潤している。
T2:癌が筋層まで浸潤している。
T3:癌が筋層を越えて尿管周囲あるいは腎盂周囲脂肪組織に浸潤している。
T4:癌が近接の臓器にまで浸潤している。

N分類は骨盤内リンパ節転移の有無

N0:所属リンパ節転移なし。
N1:骨盤内に2cm以下のリンパ節転移を1個認める。
N2:骨盤内に2cm以上5cm以下のリンパ節転移が1個、または5cm以下のリンパ節が2個以上の転移を認める。
N3:骨盤内に5cmを超える1個以上のリンパ節転移を認める。

M分類は他臓器の転移の有無

M0:他臓器に転移がある。
M1:他臓器に転移がない。

治療

腎盂尿管がんは10年間に77例経験しています。その治療法は原則として腎尿管全摘術及び膀胱部分切除による膀胱壁内尿管を含めた全上部尿路の完全な摘除を施行しています。しかし、下部尿管に発生した小さな単発性の悪性度、深達度の低い尿管腫瘍に対しては積極的に尿管腎盂鏡による経尿道的腎盂尿管腫瘍切除術による保存術を取り入れています。10年間に経尿道的腎盂尿管腫瘍切除術は 18例に施行され良好な成績を得ています。

すでにリンパ節や他の臓器に転移している場合、外科療法の適応にはなりません。この場合は、数種類の抗がん剤を用いた化学療法を行います。この治療は、一定の方法にしたがって、抗がん剤を静脈より点滴します。

生存率

一般的に、腎盂尿管がんの予後は不良といわれていますが、早期癌の場合の予後は良好で5年生存率は90%近くあります。

最近10年間の腎盂尿管がん

全例 77例 男性57例 女性20例 平均66.8歳

3年生存率 5年生存率 症例数
全症例 68.7% 62.3% 77例
T < 2 100% 87.5% 38例
T ≧ 2 46.6% 41.2% 27例