泌尿器科

医師スタッフの紹介

  

役職 主任部長・泌尿器科主任部長
氏名 高橋 義人

   日本泌尿器科学会 専門医・指導医
   日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医・指導医
   日本ロボット外科学会認定 Robo Doc certificate 
   日本泌尿器科学会 泌尿器腹腔鏡手術 技術認定医
   日本泌尿器内視鏡学会  泌尿器腹腔鏡手術 技術認定医
   日本内視鏡外科学会 泌尿器腹腔鏡手術 技術認定医
   日本泌尿器内視鏡学会  ロボット支援手術 プロクター
  (前立腺悪性腫瘍手術 腎部分切除術 膀胱全摘除術)
   日本がん治療認定医機構 がん治療認定医 
   日本緩和医療学会 暫定指導医
   日本化学療法学会 抗菌化学療法認定医
  ICD(Infection Control Doctor)
   日本癌検診・診断学会 専門医
   日本内分泌外科 甲状腺・副腎手術専門医
   日本透析医学会 専門医
 

役職 前立腺センター部長
氏名 谷口 光宏

   日本泌尿器科学会専門医・指導医
   日本泌尿器科学会 泌尿器腹腔鏡手術 技術認定医
   日本泌尿器内視鏡学会  泌尿器腹腔鏡手術 技術認定医認定 
   日本泌尿器内視鏡学会  ロボット支援手術 プロクター
    (前立腺悪性腫瘍手術)
   日本がん治療認定医機構 がん治療認定医

役職 泌尿器内視鏡科部長
氏名 仲野 正博

   日本泌尿器科学会専門医・指導医
   日本泌尿器科学会 泌尿器腹腔鏡手術 技術認定医
   日本泌尿器内視鏡学会  泌尿器腹腔鏡手術 技術認定医認定 
   日本がん治療認定医機構 がん治療認定医

役職 医長
氏名 石田 健一郎

   日本泌尿器科学会 専門医・指導医
  日本泌尿器科学会 泌尿器腹腔鏡手術 技術認定医
  日本泌尿器内視鏡学会 泌尿器腹腔鏡手術 技術認定医
   日本泌尿器内視鏡学会 会員
   ICD(Infection Control Doctor)
  日本がん治療認定医機構 がん治療認定医

役職 医師
氏名 秋田 和利

日本泌尿器科学会 会員
日本泌尿器内視鏡学会 会員

役職 医師
氏名 河田 啓

 

役職 医師(専攻医)
氏名 竹内 康通

 

 

役職 医師(非常勤)
氏名 土屋 邦洋

(水曜日の外来診療を担当)
日本泌尿器科学会 専門医
日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
日本プライマリーケア学会 会員
日本泌尿器内視鏡学会 会員
 

診療医師担当表はこちら

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泌尿器科について

泌尿器科で行う診療

 泌尿器科は、腎臓、尿管、膀胱、尿道に至る尿路全体、精巣などの陰嚢内容、陰茎、前立腺といった男性生殖器に関する様々な疾患を取り扱う診療科です。血尿、尿路結石症などの尿路に由来する
症状、排尿時間が長くなったといった排尿困難、排尿回数が増えた、尿が漏れるといった蓄尿障害など排尿に関する症状に気づいた方が多くお見えです。最近はLUTS(下部尿路症候群)OAB(過活動膀胱)、間質性膀胱炎など、男性のみならず女性の排尿障害に関する認識が広まりつつあります。

 これら尿路、排尿に携わる専門医として対応させていただいております。

=解剖の写真=

  腎癌、膀胱癌、前立腺癌、精巣癌などの悪性腫瘍をはじめ、高齢男性に多くみられる前立腺肥大症などの良性腫瘍、また尿管結石などの尿路結石や、腎盂腎炎、膀胱炎などの感染症に対して、その
診断から、手術を含めた治療まで行っています。

なかでも、がん治療に対しては地域の基幹病院としての役割を果たすため最新の医療情報の習得に
つとめ、手術療法を中心に、抗がん剤などの薬物療法、化学療法の最新情報を取得し、行なっています。放射線療法については、当センター放射線治療部と協力して放射線療法での根治を目指して治療体系を組み立てています。これを提供し、情報提供をしっかり行うことで、今まで以上に信頼されるように努力しています。当科には、泌尿器科専門医と同時に日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医を取得している医師が1名、日本治療認定機構 がん治療専門医を取得している医師が4名在籍しています。薬剤の特性を考慮して治療を行っています。
 

泌尿器科受診・入院患者数の推移

 平成18年11月の岐阜県総合医療センターへの移行と同時に完全電子カルテになりました。キーボードを打ちながらの診察でお顔を拝見しつつという時間が少し短くなりますが、カルテ、レントゲン写真をご一緒に見ていただきご自身に関する情報、結果を隅から隅までつまびらかにお知りになることができます。

 平成29年の泌尿器科の1日平均入院患者数は 24.6名です。 現在泌尿器科の病床定数は25床です。ほぼ毎日満床ということになります。 当科で行う手術は腹腔鏡手術、内視鏡手術がほとんどです。その結果、手術の回復が早く、平均在院日数は 6.7日となっています。合併症なく順調な術後の回復を図ることで、多くの患者さんに入院していただけるよう、努力しています。入院治療が必要な患者さんに適切な治療をさせていただくためにも、入院治療がひと段落した患者さんには 通院治療、在宅療養に移行していただいております。

 外来を受診なさる患者さんは 1日平均で80.1人です。 2年前と比較して 1日の平均で 20人増加いたしました。 朝8時30分から夕方17時15分まで外来診療を行っておりますが、診察までの待ち時間が長くなることもたびたびあります。
 

外来診療は2名もしくは3名で担当しています。 1名は初診―初めて泌尿器科を受診された方。もうひとりは再診を担当しています。

  平成30年11月現在  初診の担当医師は以下のとおりです。

   月曜日  石田 健一郎 泌尿器科医長

   火曜日  高橋 義人 泌尿器科部長

   水曜日  秋田 和利 泌尿器科医師 / 小鷹 博人 泌尿器科医師

          隔週交代で担当しています

   木曜日  谷口 光宏 前立腺センター 部長 / 谷口 友規 泌尿器科医師

   金曜日  仲野 正博 泌尿器内視鏡部長

  腎がん、腎盂がん、尿管がん、膀胱がん、前立腺がん、精巣がんなど、尿路・性器の悪性腫瘍の方が、半数以上を占めます。手術療法以外の治療も多くの患者さんに行っております。当科には、日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医を取得している医師が1名、日本治療認定機構 がん治療認定医を取得している医師が4名在籍しています。薬剤の特性を考慮して、治療を立案してまいります。
 悪性腫瘍以外には、腎結石、尿管結石、膀胱結石など、尿路結石症のかた、腎盂腎炎や膀胱炎など尿路感染症のかた、排尿に関する障害でご相談に見える方も多くいらっしゃいます。
 

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泌尿器科でおこなう手術による治療

   内視鏡の機器が発達しており、内視鏡手術が多いのが泌尿器科手術の特徴です。平成18年からは腹腔鏡手術を積極的に行っております。さらにロボット支援手術を導入し、現在では、90%以上が、
開腹しない手術となっています。


 2018年は9月末までの集計です。


 現在、腎摘除術、副腎摘除術は、腹腔鏡手術を標準術式、第1選択として行なっております。近年では腹腔鏡手術を積極的に施行しており、岐阜県下で有数の実績を有しています。

 

泌尿器科腹腔鏡手術

 泌尿器科で扱う臓器は副腎、腎、尿管、膀胱、前立腺、尿道、精巣(睾丸)などです。これらの臓器のある場所は「腹膜」という膜構造で仕切られ、胃腸や肝臓などの消化器臓器の背中側(「後腹膜腔」)に位置します。ただし、骨盤内では膀胱は直腸の前に位置しています。従って、副腎や腎に対する手術は、直接背中側から目的の臓器に到達する方法、「腹腔」と呼ばれる消化器臓器のある場所を経て、
それらを除けながら後ろにある臓器に到達する方法があります。

 また、尿道、膀胱、尿管といったもともとある体外へ開口している穴から内視鏡を入れて、臓器の内側から手術する内視鏡手術があります。泌尿器科では以前より、早期膀胱癌、良性前立腺肥大症で、経尿道的に手術を行なったり、尿路結石症をやはり経尿道的に摘出したりしております。これらは『内視鏡
手術』であり、「腹腔鏡手術」とは異なるものです。

 従来の開放(開腹)手術では腹壁の比較的大きな切開部から、広い視野の元に手術野全体を見ながら手術を行なうことができます。大きな創部から幅の広い板状の道具を挿入して、邪魔になる臓器を押さえて手術する範囲をよくみえるようにします。また、突然の出血に対して直接手を入れて出血部を押さえることもできます。しかし、泌尿器科で扱う腎、副腎、前立腺の手術では、執刀医以外の助手が執刀医と同じ良い視野を得ることが困難なこともまれではなく、今もさまざまな工夫がなされつつあります。
また、腹壁の切開は皮膚、筋膜だけでなく筋肉そのものを切断することもあり、術後の疼痛や体動制限の原因となることもあります。

 1997年12月に先天性萎縮腎の摘出術を行いました。これが岐阜県下の泌尿器科での最初の手術
です。ついで1998年1月に副腎腫瘍の手術が開始されました。2018年9月30日までに腎がんの腎全摘
除術もしくは腎部分切除術・ 腎盂癌・尿管癌に対する腎尿管全摘除術など、1000例以上の手術経験を積んできました。

 当院で勤務し経験をつみ研鑽を重ね、日本泌尿器科学会、日本泌尿器内視鏡学会認定の泌尿器腹腔鏡手術技術認定を取得した医師は、8名になります。

 腹腔鏡手術遂行を困難と判断し、開腹に移行したことが、13例あります。開腹には移行しましたが、
いずれも手術も成功しており、手術を受けた患者様は、みなさん回復され退院されています。

 岐阜県の泌尿器腹腔鏡手術の基点病院の一つとして技術の向上、技術の伝達につとめております。
 岐阜泌尿器科医会、岐阜大学泌尿器科と連携して泌尿器腹腔鏡手術手技セミナーを開催し、技術の普及・伝達を行っています。

 

泌尿器科内視鏡手術支援機器使用手術

 ―ロボット支援手術ー 

 平成25年3月からは、内視鏡手術用支援機器を用いた腹腔鏡下手術、いわゆる、ロボット腹腔鏡下手術を導入しました。前立腺がんに対するロボット支援腹腔鏡下前立腺悪性腫瘍手術は、岐阜県下で最多の経験を有しております。 平成28年4月からは小径腎がんに対するロボット支援腹腔鏡下手術も、新たに保険診療の対象となりました。さらに、平成30年4月からは、進行膀胱がんに対するロボット支援腹腔鏡下膀胱全摘除術も保険診療の対象となりました。当院では以前から、小径腎がんに対するロボット支援腹腔鏡下手術と進行膀胱がんに対するロボット支援腹腔鏡下膀胱全摘除術に取り組んできました。 これらの実績が評価されて、岐阜県より施設認定を受け、平成30年度11月現在、岐阜県で唯一の小径腎がんに対するロボット支援腹腔鏡下手術と膀胱がんに対するロボット支援腹腔鏡下手術が公的保険で行える病院となりました。また、公的医療保険外となりますが、腎尿管の尿路再建手術 ロボット支援手術も行なっております。公的医療保険の対象ではありませんので、患者さんご自身のご負担をお願いしていますが、臨床的な優越性は明らかな手術です。

 ロボット支援腹腔鏡下手術は、術者が通常の手術と同様の遠近感を伴う 3 次元視野を見ながら、
10 倍の拡大視野を得ることが可能です。これらの利点により術中出血量が大幅に減少したとされています。また手術支援用ロボットの操作アームは非常に器用に動き術者の動きを忠実に遂行できること、、狭い空間での可動域が極めて広いため、より確実な手術操作が可能であり、人間の手を用いるより巧緻性が高まることを実感できております。

 
   


 2018年は9月末までの集計です。

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泌尿器科で治療を行う疾患の治療方法

尿路結石の治療

 1989年に岐阜市でもっとも早く体外衝撃波結石破砕装置が導入されました。その後、2006年、岐阜県総合医療センターとして移転を機に最新鋭機器を導入しました。大変有効な破砕効率のいい機器ですが、体外衝撃波結石破砕時術は、結石を破砕する治療です。 破砕された結石の破砕片の排出は、患者さんの尿流に依存しています。

そのような中で、尿路結石症の診療ガイドラインが提示され、腎結石、尿管結石など結石の存在する位置や大きさによる適切な治療法の提示がされているようになりました。 また内視鏡の軟性化、細径化が進歩し、結石破砕装置―ホルミニウムレーザーー導入などにより、結石の破砕と破砕片の回収がより確実にできるようになりました。

破砕片の確実な処理が可能となっており、この数年は体外衝撃波結石破砕装置による治療よりも、内視鏡治療増加しております。

 2018年は9月末までの集計です。


 回転楕円体の一つの焦点に、衝撃波の発生源を設定。もう一つの焦点に、結石を配置します。

 皮膚や結石以外の臓器を通過する、衝撃波のエネルギーは小さくしておき、結石に大きなエネルギーを集中させます。その結果として、結石が破砕されます。
 結石の破砕片は、尿流とともに排石されます。
 

膀胱がんの治療

 

 膀胱がんに対しては、化学療法なども併用し、内視鏡手術を中心に行い、膀胱温存をめざしております。しかし、癌の進行度によっては膀胱全摘術を余儀なくされ、膀胱の代わりとなる代用膀胱を作成することが必要となります(尿路変更術)。

 当院にて施行している尿路変更術には、尿管皮膚瘻術、回腸導管造設術、導尿型代用膀胱形成術、排尿型代用膀胱形成術があります。最近、主に施行されている尿路変更術は腹壁に排泄口(スト−マ)を造らずに腸管にて代用膀胱を作成し尿道に吻合し、自排尿ができる排尿型代用膀胱形成術です。平成27年6月から、公的医療保険外で、ロボット支援腹腔鏡下膀胱全摘除術を開始しました。現在この手術を施行可能な、岐阜県で唯一の泌尿器科です。 最近、学会で言われるより緻密なリンパ節郭清が可能で、代用膀胱造設時時は繊細な手術操作というロボット支援手術の利点が大きく寄与する手術方法です。そして、平成30年4月からはロボット支援腹腔鏡下膀胱全摘除術も保険対象として診療できるようになりました。

 

表在性―膀胱筋層非浸潤膀胱がんに対する手術療法


 2018年は9月末までの集計です。

 2018年は9月末までの集計です。
 

抗癌化学療法・放射線療法

 腫瘍の進達度、悪性度を勘案して、手術前や手術後に抗癌化学療法、放射線療法を施行することもあります。原則として入院による治療ですが、薬剤の副作用などを確認の上、通院で治療している方も見えます。免疫チャックポイント阻害剤も保険診療として使用できるようになり 進行膀胱がんや術後の再発癌に対する治療戦略は日々変化・進歩しています。

 当科には 泌尿器科専門医と同時に、日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医を取得している医師が1名、日本治療認定機構 がん治療認定医を取得している医師が4名在籍しています。薬剤の特性を考慮して治療を行っています。

 

前立腺がんの治療

 がんは局所の病気であるかぎり、しっかりと治療していれば極端におそれるものではありません。 しかし、初期治療が奏功してもその後に再発して、転移をおこしてくるといろいろな治療が必要となります。また、診断がついた時すでに転移をおこしている患者さんもいらっしゃいます。

 治療の前に、がんが局所だけにとどまっているのか、転移をおこしているのかを十分検査しなければいけません。前立腺がんでは、特にリンパ節や骨へ転移しやすい傾向にあります。転移しているかどうかはCT(断層写真)やMRI、ラジオアイソトープシンチグラフィー等で検査します。これらの画像診断はある程度がんが育って大きくならないと検出できませんので、たとえ検査の結果明らかながんの転移が認められなくても、目に見えないがんの微少転移の存在も十分に考慮しなければいけません。がんの微少転移が疑われる場合(全身の病気の場合)には局所の治療だけでなく、全身の治療が必要になりますし、場合によっては、局所の治療より全身治療が優先されることもあります。逆に、完全に局所の病気だけであれば局所の治療が優先されます。前立腺がんにおいては、局所の治療とは手術や放射線であり、全身治療とは内分泌治療や抗癌剤治療があてはまります。医学は進歩してきており、がんの微少転移について検出する方法が現在研究されていますが、完全な方法は未だ確立されていません。ですから、前立腺がんにおいてはCTやMRIなどの画像検査の結果だけではなく、血中PSA(前立腺特異抗原)の値や生検の結果病理学的にがんの悪性度(分化度やGleason スコア)がどうであるか、などを総合的に判断し病期(進行状態)を診断する必要があります。

   T; Tumor 局所:前立腺 / N: Node リンパ節 / M Metastasis 遠隔転移

   早期前立腺癌     病期 A1 = T1aN0M0 

                 病期 A2 = T1bN0M0 または T1cN0M0

                 病期 B = T2N0M0

   前立腺局所進行癌  病期 C = T3N0M0

   進行前立腺癌     病期 D1 = N1 リンパ節転移を認めるとき

                 病期 D2 = M1 骨転移など遠隔転移を認めるとき

Gleason Score: GS

    前立腺がんに特徴的な悪性度の評価方法です。全世界的にこれを用いて治療方法を計画しています。
  前立腺がんは細胞の性質が均一でないことが多く、前立腺がんの部分のうち多くを占める主病変、その次の勢力である副病変を評価します。そして、それぞれを数値で表現します。悪性度が引くときは1、悪性度が高いときは5と表現します。

 主病変の評価と副病変の評価を ○ + △ と表現します。(これをGleason Sumといいます。)
 主病変が 4  副病変が 3であれば Gleason Scoreは 4+3と表現します。計算では、最少が 1+1で 最大が5+5になりますが、評価の際の決まり事で 3+3 未満の評価は存在しません。つまり、

  一番 小さいーおとなしいとされる 表現は 3+3になります

  一番 大きいー細胞が活発で悪性度が高い 表現は 5+5 になります。

Gleason Sumと Gleason Score 
  6           3+3
  7           3+4  4+3
  8           3+5  4+4  5+3
  9           4+5  5+4
  10          5+5

 前立腺がんの治療について大事な点は、前立腺がんは他のがんに比し、比較的緩徐に進行する(がんの悪性度にもよります)ことと、内分泌治療が他のがんに比較して効果が高いという事実です。75歳以上の方は手術の適応外としている施設が多いのですが、それは内分泌治療だけでもある程度はがんを抑えることができるからです。具体的には、75歳以上の方でも日本人男性の平均寿命である80歳近くまでがんを抑制することができる可能性があるためです。単に治療の効果、生死の問題だけでなく、治療の結果今後の生活がどのように変化するのか、それは治療法の選択によりずいぶん幅がありますので、それを十分理解して、主治医とよく相談して治療法を決めることが重要と思われます。これから具体的な治療法について解説します。

手術療法
      

転移や浸潤のない早期がんの患者さんが対象となります。手術は全身麻酔下に行いますので手
術中、意識はありません。

  いくつかの方法があります。使用する器具皮膚の切開方法などが異なりますが、手術の内容―前立腺がんの根治的な手術―は、同じです。
 つまり、前立腺周囲の骨盤内リンパ節郭清を同時に施行して、前立腺、精のうを一塊として摘除します。
 現在は、前立腺内の癌の存在部位により、手術後の早期機能回復を目指して、神経温存手術も行なっています。前立腺のすぐ横を神経血管束が走っています。これを残すと勃起能が温存できる可能性があります。神経温存手術は 前立腺癌の病状との兼ね合いで施行の可否が決まるものです。従いまして、すべての患者さんで可能なわけではなく、また神経温存手術を施行しても 必ずしも勃起機能は温存できないこともあります。
 前立腺の遠位側に尿道括約筋(排尿をコントロールし、失禁をおこさないために必要な筋肉)があります。主に出血する部位はサントリーニ静脈叢と呼ばれる尿道腹側部分の静脈で、ここの処理が出血量のコントロールのために重要となります。普通4-6時間前後の手術時間ですが、前立腺の大きさや骨盤の広さ等で多少前後します。

 術後の症状として、 ①尿失禁 ②勃起障害があります。
 また、起こりうる合併症として 骨盤内リンパ嚢腫の発生 と 直腸損傷があります。

現在は、 
 1)通常開腹手術(根治的前立腺全摘除術)

  泌尿器科専門医が勤務している医療機関であれば施行可能です。

 2)腹腔鏡下小切開前立腺手術
  
腹腔鏡下小切開前立腺手術は 平成21年3月に岐阜県で最初に当科が施設認定うけ、施行可能
 となった手術方法
です。平成30年11月現在、当科以外では施行できません。大き目の切開による根
 治的前立腺全摘除術ではなくて、小さな切開を設けて内視鏡を補助として使用する手術方法です。

 3)腹腔鏡下前立腺全摘除術
  
岐阜県下では施行していません。

 4)ロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術
   平成24年4月から新たに保険収載された治療法です。
   内視鏡手術支援ロボットを用いた手術です。現在の日本では 
ロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘
  除術は保険収載されており、公的医療保険のもとで施行可能な方法です。当院では、ダビンチ Si
  を導入しています。 

が日本では行われています。

以下に述べる様な、手術に関連する症状の改善・術後合併症の軽減につながることが証明されています。

【手術の合併症】 ①手術の合併症についてですが、まず手術中の出血があります。ロボット手術を開始して以降は、出血量は劇的に減少しています。過去5年間周術期に輸血を必要とした方はおられません。②次に細菌による感染です。肺炎や手術を行った局所の感染の可能性がありえるため、術後に抗生物質を使用します。③術後の勃起障害ですが、神経血管束を温存しなければ術後勃起は不可能になります。片側温存または両側温存した場合に術後の勃起能維持できることがありますが、100%ではありません。確実な勃起機能を期待される方は、手術療法以外をお勧めします。温存したにもかかわらず勃起能が改善しなかった場合、バイアグラやレビトラを使用することで勃起能が改善することもあります。④術後の合併症として尿失禁がありえます。5-10%位の人が術後に尿とりパッドなどを使用しています。この中には、ほとんどもれないが念のためにあてているという人たちも含まれます。⑤まれですが尿道狭窄も合併症の一つです。数ヶ月から1年以内に排尿困難、勢いが低下するといった症状で起こります。下半身麻酔による尿道からの内視鏡手術で対応可能です。⑥骨盤内にリンパ液が貯留してくることがあります。ほかにも全身麻酔や手術に伴う合併症がありえますので、担当医とご相談下さい。

 術後はリンパ節への転移、前立腺がんの悪性度(分化度)、浸潤度について病理学的に顕微鏡で調べて結果をお話しします。術前に早期がんであると思われても、実際に顕微鏡レベルでしらべると早期がんではなかったということがあります。この場合は術後に放射線や内分泌治療といった追加補助治療(アジュバント療法)が必要となることがあります。

 術前に数ヶ月間内分泌治療を行って、前立腺と前立腺癌を小さくしてから手術を行うこともあり、ネオアジュバントホルモン治療といいます。手術までの間、病勢を抑えることが可能です。ネオアジュバントホルモン治療+手術療法と手術療法単独で生命予後に差があるかどうかははっきりしていませんが、手術までの待機時間の病勢抑制が可能です。手術を待っている間、患者様の不安を少しでも抑えることが可能かもしれません。

 2018年は9月末までの集計です。
 

放射線療法

1. 放射線外照射

1)外照射 3次元原体照射 3DCRT:
 早期がんで手術を希望されないか、全身状態から手術ができない患者さん、局所進行がんの患者さんが主に対象となります。放射線外照射治療の前や後、または同時に内分泌治療を併用することがあります。根治的前立腺全摘除術後に追加治療として放射線外照射治療が行われることもあります。放射線外照射治療は高エネルギーX線を体の外から前立腺に照射することでがんを治療する方法です。実際には1日1回、週に5日、30-35回程度行われます。放射線照射の単位は70Gy(グレイ)程度の照射が必要です。入院して行う施設と通院で行う施設とがありますが、治療には7-8週間程度必要となります。副作用ですが放射線を照射している時におきる急性の症状と照射後数年してからおきる遅発性の症状とがあります。急性の症状として放射線の照射回数の少ないときは宿酔(すこし気分が悪くなる)、照射回数が多くなってくると頻尿、血尿、下痢、血便、臀部(おしり)の皮膚の表皮はく離、などが出現することもあります。症状は一過性で照射が終了すると治ります。照射後数年してから出現する遅発性の症状としては頻尿、血尿、尿道狭窄、血便、などがあり、これらは一度出現すると難治性のことがあります。TUR-P(経尿道的前立腺切除術)後すぐに照射を開始すると尿道狭窄をおこしやすいために4-6週間後に放射線照射を開始するようにしています。最近は照射方法が進歩し、これらの副作用は軽減してきています。対症療法として転移した部分の痛みに対して、除痛目的に放射線を照射する場合もあります。

     

2)強度変調放射線治療(IMRT):
 強度変調放射線治療(IMRT:intensity modulated radiotherapy)はコンピューターにより高エネルギーX線の強さを細かく制御することで腫瘍部分のみに放射線を集中させ,周囲正常組織への照射を軽減させる画期的な方法です。IMRTにより通常の放射線治療より多くの放射線を前立腺のみに照射することができ、周囲組織である直腸や膀胱への照射量を減らすことができるので効果が高まり、副作用が軽減できます。治療回数は通常の放射線治療より数日多くなります。精密な線量計算、治療精度の確保が必須となるために、一部の施設でのみ行うことができる治療法です。
 当院でも治療できるようになり良好な治療成績を示しています。

3)粒子線治療:
 粒子線治療とは、陽子や重粒子(重イオン。電子よりも重い粒子を高速に加速したもの)などの粒子放射線を前立腺に照射することによって治療する放射線治療法の総称です。陽子や重粒子線はサイクロトロンやシンクロトロンなどの加速器から得られ、前立腺に照射されます。粒子線のうち電荷を持つもの(荷電重粒子線)の特徴は、一定の深さ以上には進まないということと、ある深さにおいて最も強く作用するということです。そのため、陽子線や重粒子線で前立腺周囲の組織への副作用を軽減し、前立腺のみに十分な線量を照射することができます。 装置が巨大で設備に多額の資金が必要なために、まだ全国で数施設でしか粒子線治療は行われていません。また、治療を受けるには限られた適応と治療費の自費負担が必要となることがありますので注意が必要です。(陽子線治療は、国立がんセンター東病院、筑波大学陽子線医学利用研究センター、兵庫県立粒子線医療センター、若狭湾エネルギー研究センター、静岡県立静岡がんセンターで行われています。独立行政法人放射線医学総合研究所では炭素線を使った重粒子線治療が行われています。)
 当院では設備がなく施行しておりません。ご希望があれば 適切な医療機関に紹介させていただいております。

 

2. 放射線内照射(ブラキセラピー):
 ブラキセラピーとは、4.5×0.8mmのカプセルに入ったヨード125シード線源を40~80個、前立腺内に永久留置することにより前立腺の内側から放射線をがんに作用させる、早期前立腺がん患者さんのみを対象とする治療法です。ブラキセラピーはアメリカにおいてはすでにその有効性と安全性が実証され一般的な治療法として確立されていますが、2003年から日本にでも治療可能となりました。岐阜県では岐阜大学で可能です。シード線源から放出される放射線エネルギーは離れたところにはほとんど影響しないため、従来の放射線外照射と比べて前立腺周囲の正常組織への放射線の副作用を軽減しながら、より多くのエネルギーを前立腺がんに照射することができます。ブラキセラピー単独治療に最も適しているのは限局性の早期前立腺がん(病期T1またはT2a)でグリソン.スコアが7未満、PSA10ng/ml未満の患者さんです。これらにあてはまらない場合必ずしも適応外というわけではありませんが、放射線外照射やホルモン治療を併用する場合があります。ブラキとは「短い」という意味で、目標とする前立腺と線源との距離が短いことに由来します。
 当院では設備がなく施行しておりません。ご希望があれば、適切な医療機関に紹介させていただいております。

      

3、放射線内用治療
 平成28年からは 前立腺癌で骨転移のある患者さんに朗報が届きました。日本での認可が遅れていました Rd223が認可されました。 骨病変に対して 特異的に抗腫瘍効果を示す薬剤です。 取り扱いに特別な条件があります。当院でも放射線治療科と協調して治療可能であります。 

 

.内分泌(ホルモン)療法

前立腺癌は男性ホルモン(アンドロゲン)により増殖します。ですから治療の基本は男性ホルモンを低下させるか、男性ホルモンが前立腺へ作用しないようにするかということになります。男性ホルモンは主に睾丸(精巣)と副腎で作られます。

1)除睾術
 男性ホルモンの大部分を産生している睾丸(精巣)を摘除することで(去勢)体内の男性ホルモンを急速に下げ、前立腺癌のアポトーシス(死滅)を誘導します。手術は腰椎麻酔下に行い、1時間程度で終わります。入院は1週間程度必要となります。術後は性欲(リビドー)の減退、勃起障害、長期的副作用としてはほてり、骨粗鬆症などがあり得ます。除睾術単独治療の他に、副腎からの男性ホルモンを抑えるために抗男性ホルモン薬(後述)を併用する場合があります。

2)LHRHアナログ および LH-RHアンタゴニスト
 LHRHとは黄体化ホルモン-放出ホルモン: luteinizing hormone releasing hormoneの略です。LHRHアナログは視床下部から分泌され下垂体に働くこのLHRHホルモンを人工的合成した薬剤です。この注射により一時的に下垂体からの黄体形成ホルモン(LH:luteinizing hormone)というホルモンが増加し、さらに精巣のライディヒ細胞由来の男性ホルモンも一時的に増加しますが、その後は去勢した場合と同程度に男性ホルモンが低下します。この注射により精巣からの男性ホルモンの産生が低下します。前立腺癌だけでなく、女性の乳癌や子宮内膜症といった病気にも使われます。月に1回外来で皮下注射し、その効果は1ヶ月持続します。2002年には3ヶ月持続し、3ヶ月に1回皮下注射すればよい薬剤も発売開始となりました。リュープリン、ゾラデックスという商品名です。前立腺癌への効果は除睾術と同程度と言われています。
 副作用としては男性ホルモンが低下することにより、リビドー(性欲)の低下、勃起障害、女性化乳房、ほてり、朝の手のこわばり、などがありえます。長期間使用することで骨粗鬆症なども問題になってくることがあります。

3)抗男性ホルモン
 男性ホルモンであるアンドロゲンと受容体の結合をブロックすることで男性ホルモンの前立腺への作用を阻止する薬剤です。単独で使われることもあります。LHRHアナログと併用して使われることもあり、この場合精巣、副腎、両方からの前立腺へのアンドロゲン作用を完全にブロックするという意味でMaximal androgen blockade therapy (MAB療法)と呼ばれます。TAB療法は理論的にはLHRHアナログ単独または除睾術単独治療に比較してより強い制癌効果が期待されましたが、制癌効果がより高いとする報告と変わらないとする報告とがあり、現在も議論がなされています。
 a 非ステロイド性:商品名カソデックス、オダイン と
 b ステロイド性:商品名プロスタール   と区別されます。
副作用の可能性としては女性化乳房、ほてり、リビドー(性欲)の低下、勃起障害、肝臓の機能障害、などがあげられます。 

4)女性ホルモン
 女性ホルモンの一種で、心不全や虚血性心疾患、肺梗塞、心筋梗塞等の血栓症の人等に使用する時は症状が悪化することがあり注意が必要です。他に副作用として浮腫、女性化乳房、肝臓機能障害等がありえます。現在日本で使用可能なものはありません。

5)間欠的治療について
 マウスを使った実験では抗男性ホルモンの投与を継続して続けるよりは間欠的に投与したほうが ホルモンが効かなくなる(再燃)までの期間が延長したとの報告があります。現在一部の施設では応用して行われています。間欠的治療の有用性は現時点では十分には確立はされていませんのでこれから十分検討が必要な治療法です。

6)アンチアンドロゲン除去症候群について
 抗男性ホルモン剤により治療し一度は治療効果が現れているにもかかわらずその後薬が効かなくなり、病状が進行した時(再燃)この抗男性ホルモン剤を中止することで一時的に病状が軽快することがあります。この現象をアンチアンドロゲン除去症候群といいます。はじめは男性ホルモンと男性ホルモン受容体との結合を阻止していた薬剤ががんの性格が変化したために抗男性ホルモン剤が男性ホルモン受容体を刺激し、がんの進行の原因となってしまう場合があるのです。

7)ステロイド
 十分に男性ホルモンを下げる治療を行っているにもかかわらず、病状が進行した場合(再燃)、ステロイドを使うと病状が抑えられることがあります。副作用としては満月様顔貌、浮腫、体重増加、胃部不快等があり得ます。
 

化学療法(抗がん剤

前立腺癌においても抗がん化学療法が使用される時代となりました。進行が早く、将来ホルモン剤がきかなくなりそうながんや、ホルモン治療後病状が再燃してきた患者さんに対して使われることがあります。PSAを一時的に下げるだけでなく、予後に対しても、抗がんによる化学療法により改善していることが証明されています。以前は、商品名はエストラサイト、エトポシド、ユーエフティー等がありました。近年ではタキソテールといったタキサン系の抗癌剤が登場しています。各々作用機序や副作用が異なります。
当科には 泌尿器科専門医と同時に 日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医 を取得している医師が1名、日本治療認定機構 がん治療認定医を取得している医師が4名在籍しています。薬剤の特性を考慮して治療を行っています。
 

腎がん(腎細胞がん:RCC renal cell carcinoma)の治療

 はじめに

 腎にできる腫瘍の中には腎血管筋脂肪腫やオンコサイトーマと言った良性腫瘍もありますが,約90%が腎悪性腫瘍,すなわち腎がん(腎細胞がん)です.また,腎盂粘膜より発生する腎盂腫瘍(腎盂がん)もありますが、これは別の項で説明します.腎がんは毎年10万人あたり8〜10人程度の発生率と言われおり,現在増加傾向にあるがんです.年齢では40歳代から70歳代に多く発症しますが,近年では30歳 代以下の若年者の発症もしばしば見られます.男女比は2:1ぐらいです.

 腎がんの発生する原因は他の癌と同様明らかなことはわかっていませんが,喫煙,性 ホルモンなどが危険因子として知られています.また,透析中に腎癌が高率に発生することも報告されています.血尿やお腹の違和感で見つかることもありますが、深い所にある臓器なのでなかなか症状が出にくく、最近では人間ドックや癌検診などで行われている超音波検査で偶然発見される患者さんが増えてきています。先に述べた血尿などの症状があるのは、腎癌の40%程度といわれています。また、約8%が転移による症状、肺転移による咳、骨転位による病的骨折などで見つかっており,発熱,全身倦怠感,体重減少などで発見されることもまれにあります.

 腎がんの特徴は手術で完全に摘出する事がたいへん重要です。また、手術で取りきれないものや、進行してしまったものに対しては、いろいろなお薬での治療が大事です。現在は さまざまな 分子標的薬が進行腎細胞がんの標準治療薬となっております。このような最新情報を分析しつつ、最善の治療法を選択する努力をしています。

 

腎がんの診断

  腎がんの可能性があるときには、診断確定のための検査と、病期確定のための検査を進めることになります。
 腹部超音波検査、CTスキャン検査 、MRI検査 、アイソトープ検査等をおこない周囲(隣接臓器)への浸潤の程度,静脈内への進展の程度,他臓器転移の有無,リンパ節の腫大の有無などを確認します。ほかの癌と異なり、組織学的診断確定のための、生検といって試験的に組織採取を行うことは原則として行いません。腎が体の深部に存在しており止血がしにくいこと、腎がんは血流がとても豊富であること、生検を契機に腫瘍を広げる可能性(播種といいます)を指摘されていること等から、腎癌では生検をおこなうことはきわめて希です。

 診断が確定し、病期を決定して治療法を決めます.現在は下記のTNM分類で病期を表現します。Tは原発<腎>、Nはリンパ節、Mは転移している臓器を表します。

T0:原発腫瘍を認めず

T1:最大径が7cm以下で腎に限局するもの

  T1a:最大径が4cm以下で腎に限局するもの

  T1b:最大径が4cmをこえるが7cm以下で腎に限局するもの

T2:最大径が7cmを越え,腎に限局するもの

T3:主静脈内に進展,または副腎に浸潤,または腎周囲脂肪組織に浸潤するがGerota筋膜をこえない

  T3a:副腎または腎周囲脂肪組織に浸潤するがGerota筋膜をこえない

  T3b:腎静脈または横隔膜下までの下大静脈内に進展する

  T3c:横隔膜を越える下大静脈内に進展する

T4:腫瘍はGerota筋膜を越えて浸潤する

 

N0:所属リンパ節転移なし

N1:1個の所属リンパ節転移

N2:2個以上の所属リンパ節転移

 

M0:遠隔転移なし

M1:遠隔転移あり

 

腎がんの治療

  治療方法は手術により患側腎を摘出することが原則です.肺などに遠隔転移があるような場合でも手術の適応になります.放射線治療や抗がん剤治療(癌化学療法)は 一般的に奏功率は低いとされています.

1)根治的腎摘出術

 腎摘出方法は、腹腔鏡手術で行う方法と、開腹で行う方法があります。偶然発見された様な早期の腎癌は当科では2000年以来原則として、腹腔鏡下手術を施行してきています。(腎を腹腔鏡手術で摘出するのは、1990年に開始され、1991年から日本でも行われています。当科では、1997年に腎摘除術を開始し、腎癌に対しては2001年より施行しています。 腹腔鏡手術では困難と判断される大きな腎癌や血管や周囲の臓器に浸潤しているような腎癌では開腹での拡大手術を行っています。特に血管浸潤が高度なものは心血管外科と共同して、人工心肺を使用して摘出術を行うこともあります。

2006年(平成18年)からは 腹腔鏡手術を積極的に行っております。現在、腎摘除術は腹腔鏡手術を標準術式、第1選択として行なっております。

   
開放手術による根治的腎摘除術の術創 腹腔鏡下根治的腎摘除術での術創


2)腎部分切除術、腫瘍核出術
 腎機能が悪い場合、あるいは合併症のある場合などではなるべく正常腎を温存する手術を行います。これが腎部分切除術や腫瘍核出術です。また、腫瘍の大きさが小さく、単発で末梢側にある場合もこの方法が適応となる場合があります。当科では2009年以降は 腫瘍の直径が4cm以下のT1aの腎癌では腹腔鏡下腎部分切除術をおこなっています。 さらに平成26年4月から、公的医療保険外でロボット支援腹腔鏡下腎部分切除術を開始しました。そして、平成28年4月からは保険医療として施行可能な 岐阜県で唯一の泌尿器科です。施行しています。ロボット支援手術の利点が大きく寄与する手術方法で、腎機能を保持しつつ、がんを治療できる素晴らしい手術方法です。


 2018年は9月末までの集計です。

 多発の遠隔転移、切除不可能と考えられるような腫瘍では以下にあげる他の治療を行います。また、合併症があり手術施行が困難と考えられるとき、お体の状況で手術が不可能な場合には、以下のような治療を行うこともあります。

3)動脈塞栓術
 血尿などの症状が強い場合に行います。レントゲン透視下に大腿部の動脈よりカテーテルを使って金属コイルやゼルフォームというものを腫瘍血管につめて腫瘍を阻血、壊死させる方法です。 一時的に熱がでますが、数日で落ち着きます。

4)放射線療法
 腎原発に対して施行されることはほとんどありません。摘出困難な転移巣による症状、たとえば疼痛などが強い場合に、症状緩和を目的に行います。根本的な治療ではありません。

5)サイトカイン療法
 腎癌の肺転移は自然退縮したり、腎臓(原発)を摘出した後に消失する例が報告されており、なんらかの免疫機構と関係していると考えられています。
 免疫療法としてはインターフェロン(IFN)α投与が以前より行われていました。1999年から,インターロイキン2(IL-2)が保健医療として使用できるようになり、主として進行腎癌に対して、免疫療法を施行しています。原則として、入院の上、連日注射します。その効果は20〜40%くらいでそれほど高いものではありませんが、一部の患者様では、腫瘍の縮小、縮小期間の延長継続も確認されています。ただ、保険医療で投与できる薬剤ですが、薬価がたかいお薬です。現在では 限られた症例への治療となりました。

6)分子標的治療
 平成20年に新規に分子標的薬が新たに治療薬として導入されました。転移のある症例に対する 有効な治療薬です。現時点までに5種類の分子標的治療薬が日本で使用可能となりました。各薬剤には、多彩な副作用が可能性としてあります。当院は保険収載以前の平成18年から治療経験があります。岐阜県下で有数の治療経験を有しています。

7)IO療法(immunoonocology療法)
 2018年の ノーベル医学生理学賞の対象となった研究結果が 実地医療に結実した治療です。 腫瘍細胞が関与して、患者さんの免疫担当細胞の機能を低下させることが知られています。この腫瘍細胞の作用を解除し、患者さん自身が持っている芽根季担当細胞の働きを回復させ抗腫瘍効果をもたらす治療方法です。有効な治療ですが、実に多彩な有害事象が知られております。当科には、泌尿器科専門医と同時に 日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医 を取得している医師が1名、日本治療認定機構 がん治療認定医を取得している医師が4名在籍しています。薬剤の特性を考慮して治療を行っています。

 

腎盂がん・尿管がんの治療

  腎に発生する悪性腫瘍の内、尿の通り道“尿路”である腎盂から発生する腎盂がんと、尿管がんがあります。腎盂がん、尿管がんは泌尿器科癌の中でもまれで、その発生頻度は人口10万人あたり、男性0.1人、女性0.1人程度です。

 腎盂とは、腎の中で、皮質髄質でつくられた尿が流れるところです。尿は、まず腎盂に入り、ついで尿管という細い管を流れ、膀胱にたまります。そして尿道を通って、体外に排出されます。従って、腎盂粘膜、尿管粘膜、膀胱粘膜、そして後部尿道粘膜はいずれも移行上皮といわれる粘膜から構成されており、これらを尿路上皮と総称します。このうち、腎盂粘膜、尿管粘膜から発生する悪性腫瘍を腎盂癌、尿管癌といいます。両者を一つのグループと考え、上部尿路腫瘍という表現をする場合もあります。治療法にあまり差がなく、腎盂がん、尿管がんをまとめて考える場合が多いのです。

      
    左は腎を折半した図、皮質、髄質でつくられた尿が腎盂、尿管を通って膀胱にたまる
 

腎盂がん・尿管がんの診断

 多くは血尿をきっかけとして診断されます。腎盂がんで進行した場合は先ほどの腎細胞がんとの鑑別が難しい場合があります。尿管がんでは細い尿管は癌によりせまくなり、上流に尿がたまる水腎症、そこに感染を起こす膿腎症などを呈することもあります。また、はっきりとした腫瘤、狭搾がなく、血尿だけが続く場合もあります。エコー、CT、MRIを駆使しても診断が困難な場合があります。確定診断を得るために、よりいっそうの優れた泌尿器科専門医の知識と技術が要求される癌です。
 膀胱がんでは内視鏡検査が診断のための有力な手段となります。しかし、尿管そして腎盂までの上部尿路を詳細に内視鏡で観察検査するためには、専用の細い内視鏡が必要となります。当科では、内視鏡メーカーとタイアップして、最も細くて、解像力の優れた、操作性のよい上部尿路用の内視鏡をもちいて診断を行っています。上部尿路の内視鏡検査には、疼痛対策と検査後の合併症回避を考えて短期の検査入院で行っています。上部尿路の粘膜からの生検か上部尿路から直接採取した尿を用いた尿細胞診で診断を確実なものにしていきます。
 診断が確定したあとは、病期を確定させるためにCT, MRI, アイソトープ検査を行います。

 

腎盂がん・尿管がんの治療

腎尿管全摘除術
 腎盂癌がん・尿管がんの治療の中心は手術療法です。腎盂がんに対して、腎盂のある場所すなわち腎だけを摘除する、尿管がんに対して癌のある尿管だけを摘除するという手術は 通常はおこないません。腎もしくは尿管だけを摘出しても残った腎臓や尿管に再発することがあり、手術では腎臓から尿管すべてを摘出する必要があります。癌が発生した片側の腎臓、尿管、さらには膀胱壁の一部も含めた腎尿管全摘、膀胱部分切除を施行するのが一般的です。腎臓と腎盂は密接に接触しているため、腎臓全体を摘出することが必要です。
 このとき、開腹で腎・尿管の剥離摘除を行う方法と、腹腔鏡下に行う方法があります。当科では、原則として腹腔鏡下に行う方法を行っています。

内視鏡下腫瘍切除術
 標準的な治療ではありませんが、腫瘍がごく早期で表在性であると診断できたとき、合併症があり腎の摘出をさけたいときなどには、内視鏡下に腫瘍を摘除術方法も施行されます。当センターでは、下部尿管に発生した小さな単発性悪性度、深達度の低い尿管腫瘍に対しては尿管腎盂鏡による経尿道的尿管腫瘍切除術による臓器保存術を取り入れています。
 これはより高度な技術と専門の器具が必要となります。腫瘍の完全切除を可能にするためにHo-YAG laserを使用することも行います。ただ、標準的な治療法ではなくこの方法で治療する方は、様々条件を考えあわせてということになります。担当の医師によくご相談ください。

 2018年は9月末日までの集計です。
 

抗癌化学療法・放射線療法

 腎盂癌・尿管癌は尿路上皮腫瘍であり、膀胱癌と同様の腫瘍です。抗癌化学療法、放射線療法に対しては膀胱癌と同様・同等の効果を示すものと考えています。
 当科には、泌尿器科専門医と同時に、日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医 を取得している医師が1名、日本治療認定機構 がん治療認定医を取得している医師が4名在籍しています。薬剤の特性を考慮して治療を行っています。

 

泌尿器科で取り扱う副腎疾患、副腎腫瘍

  泌尿器科が治療に携わる臓器として副腎があります。あまり聞き慣れない臓器ですが、腎の頭側に存在します。副腎はほぼみぞおちの高さで背中側にある,通常は2〜3cmの小さな臓器で、右は肝臓の後ろ内側に、左は胃の後ろ内側にあります。両側とも<後腹膜腔(こうふくまくくう)>にあり、腎臓に接して上方に存在することからこの名前がありますが、その働きは腎とは全く違います。

 その働きの主なものは内分泌臓器として、体の種々の指令のもと、さまざまな物質“ホルモン”を分泌し、体の恒常性(こうじょうせい:ある一定のバランスを保つこと)や血糖、血圧の調節を行っています。

 副腎の中の細胞の一部が勝手に増殖し腫瘍を形成した状態を副腎腫瘍と言います。正常でも副腎の中には役割の異なった多くの細胞がありますので、増殖した細胞の性質によって症状が異なってきます。このような腫瘍をホルモン産生腫瘍といいます。副腎の中で、皮質というところの細胞が増殖した場合に副腎皮質ホルモンが過剰に体内を循環して引き起こす「クッシング症候群」と呼ばれるものや、同じ副腎の皮質の細胞でも「アルドステロン」という血圧を調節(上昇)する物質が過剰に産生される「原発性アルドステロン症」と呼ばれるものもあります。また副腎髄質という場所の腫瘍では「褐色細胞腫(かっしょくさいぼうしゅ)」と言われ、アルドステロンとは違う「アドレナリン」という物質が多くなり高血圧を引き起こしたり、動悸、頭痛の原因であったりすることがあります。

 また腫瘍がありながらどの物質も過剰ではなく症状をおこさないホルモン非活性(無機能性)腫瘍といわれるものもあります。最近、人間ドックや他の疾患の検査中にたまたま見つかることが増えていますが、この場合は多くが症状のないホルモン非活性腫瘍です。

 副腎の画像検査(CT検査など)が行われます。その時に副腎に腫瘍が見つかりますと、その腫瘍によって症状をおこしている可能性が高くなります。ただ、確定診断にはさらに詳しい検査を必要とすることもあります。当センターでは、総合内科・循環器科・放射線科などと共同して診断に当たり、確かな診断を心がけています。


 左右の腎臓の頭側に寄り添うように存在している副腎
 

副腎腫瘍の治療

 ホルモン活性腫瘍のときは、高血圧、糖尿病などは、お薬で対応できるものもありますが、経過とともに血圧がさらに高くなり、必要なお薬が増えていきます。高血圧が進むと、網膜症、腎症、動脈硬化を引き起こし、副腎自体を治療しても血圧が正常化しない場合など、臓器障害が残存することがあります。診断が確定した時点で、腫瘍を含めた患側(腫瘍の存在する側)の副腎全摘除術をおすすめしています。副腎を手術したあとでの血圧の変化、血糖値の改善は、手術を施行した時点での臓器への影響の程度によります。すぐ改善するかたも見えれば、時間のかかる方も見えます。

 ホルモン非活性腫瘍のときは、その大きさから判断します。3cm以下のときは、定期的な画像診断を継続することをおすすめしています。4cmを越えるときは、副腎悪性腫瘍の可能性が高くなり、手術をおすすめしています。

 手術方法には、皮膚を大きく切開して副腎を摘出する開腹による方法と腹腔鏡を用いた方法があります。腹腔鏡手術は、保険診療でも認められた手術方法です。

 2018年は9月末日までの集計です。
 

排尿障害・前立腺肥大症、下部尿路症状そして過活動膀胱の治療

 男性の排尿障害は、前立腺肥大症というのが通り相場でした。現在では、排尿に関するさまざまな機構、仕組みが判明してきています。前立腺の大きさと排尿障害の程度は必ずしも対応しないこともわかってきています。
 また、排尿障害は、男性だけでなく、女性にも多く方が悩んでいることがわかってきています。排尿という日々にまつわる状況で実の多くの方が悩んで見えます。

勇気を奮って一度専門医を受診してみてください。

 尿検査、エコー検査、時には膀胱内視鏡検査も必要です。排尿の状態を客観的に評価するために、尿流測定、膀胱内圧測定、括約筋筋電図など行い、一番適切な治療を選択して行きます。

 治療の中心は、薬物療法となります。ただ、尿の勢いがない、排尿時間が長いといった排出障害のときに用いるお薬と、尿の回数が多い、したいと感じたらトイレに間に合わないといった蓄尿障害に用いるお薬は異なります。ご自身の症状を一度記録して、受診してください。
 薬物療法で効果がなく、前立腺が大きく、膀胱からの排出障害が確認できた方が、前立腺肥大症の手術の対象となります。10数年前と比べると手術が必要な前立腺肥大症の方はとても少なくなりました。

  前立腺は大きくなく、 膀胱の排出障害がなくても、排尿に関する症状が強い方は多く見えます。排尿障害に対する薬物療法の進歩で、手術を必要とされる方は減少しているようです。しかしながら、手術療法以外では排尿障害を改善することができない方もいらっしゃいます。
 2009年(平成21年)から 経尿道的前立腺切除術 TUR-Pに かえて、あらたに 経尿道的前立腺レーザー核出術 HoLEPを導入しました。 手術後の排尿状態の早期改善と 従来ならば開腹を必要としていたような 大きな前立腺肥大症に対する治療も可能となったことが大きな特徴です。以前は 大きな前立腺肥大症では 前立腺被膜下切除術を開腹で施行していました。
 現在はほとんどすべての前立腺肥大症に対して経尿道的前立腺レーザー核出術 HoLEPで対応できるようになっています。

 2018年は9月末日までの集計です。

     
 

前立腺肥大症による排尿障害のときに使用される自覚症状のスコアを載せております。
0~8が軽症,9~19が中等症,20以上が重症と一般には考えられています。10以上であれば、泌尿器科専門医への受診をおすすめします。


これとは別に 最近 過活動膀胱(OAB)が注目されています。尿失禁の有無は問わず、尿意切迫などの自覚症状だけで診断される新たな症候群です。先のLUTSや前立腺肥大症と類縁の疾患であり、一部重なります。また女性患者も多いことが知られております。過活動膀胱症状スコア(OABSS)も載せてまいります。ご参考にして下さい。

国際前立腺症状スコア

  まったくなし 5回に1回の割合
未満
2回に1回の割合
未満
2回に1回の割合 2回に1回の割合
以上
ほとんど常に
最近一ヶ月間、排尿後尿がまだ残っている感じがありましたか 0 1 2 3 4 5
最近一ヶ月間、排尿後に時間以内にもう一度行かねばならないことがありましたか 0 1 2 3 4 5
最近一ヶ月間、排尿途中に尿がとぎれることがありましたか 0 1 2 3 4 5
最近一ヶ月間、排尿を我慢するのがつらいことがありましたか 0 1 2 3 4 5
最近一ヶ月間、尿の勢いが弱いことがありましたか 0 1 2 3 4 5
最近一ヶ月間、排尿開始時にいきむ必要がありましたか 0 1 2 3 4 5
夜就寝中何回トイレに行きますか 0 回 1 回 2 回 3 回 4 回 5 回
最近一ヶ月間、床についてから朝起きるまで普通何回排尿に起きましたか 0 1 2 3 4 5

過活動膀胱症状スコア(OABSS)

1- 朝起きたときから寝るまでの間何回排尿しましたか?
      0―― 7回以下
      1―― 8―14回
      2―― 15回以上

2-夜寝てから朝起きるまで何回くらい尿をするために起きましたか?
      0―― 0回
      1―― 1回
      2―― 2回
      3―― 3回以上

3-急に尿がしたくなって我慢が難しいことがありましたか?
      0―― なし
      1―― 週に1回より少ない
      2―― 週に1回以上
      3―― 1日に1回くらい
      4―― 1日2-4回
      5―― 1日5回以上

4-急に尿がしたくなり、我慢ができずに尿を漏らしたことがありましたか?
      0―― なし
      1―― 週に1回より少ない
      2―― 週に1回以上
      3―― 1日に1回くらい
      4―― 1日2-4回
      5―― 1日5回以上

**  質問3の尿意切迫感スコアが2点以上、かつ OABSS 3点以上で過活動膀胱

** OABSSスコア合計で   5点以下   軽症 
                     6-11点   中等症
                     12点以上  重症

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最終更新日:2019/07/01